昨日7月14日、IT大手のLINEヤフー株式会社から、非常に興味深い発表がありました。全従業員約11,000人を対象に、業務での生成AI活用を義務化させる、というものです。
この記事を読んだ方の中には、「それは最先端のIT企業だからできることで、我々のような『ものづくり』の現場とは少し違う世界の話だ」と感じられた方も多いかもしれません。
しかし、その先進的な取り組みの中には、実は私たちの現場でも応用できる、新しい働き方のヒントがたくさん隠されています。
この記事では、彼らの働き方の中から、特に今回は製造業の現場にフィットする「3つのヒント」をご紹介します。
ヒント①:「調べる」を、AIに手伝ってもらう
LINEヤフーでは、何かを調べる際に「まずAIに聞く」ことを推奨しているそうです。これを、私たちの現場に置き換えて考えてみると、どんな可能性があるでしょうか。

- 例えば… 古い機械の仕様や部品を探す時 「倉庫の隅にある、10年以上前のあの機械。マニュアルも見当たらないし…」こんな時、AIに「(型番)の仕様と、互換性のある部品を教えて」と話しかければ、情報整理を手伝ってくれます。
- 例えば… マンネリ化した活動のアイデアが欲しい時 「工場の安全週間。今年のキャッチコピー、何か良い案はないかな…」そんな時も、AIは柔軟な相談相手になります。「製造現場の安全意識を高めるキャッチコピー案を、5つの切り口で10個提案してほしい」と頼めば、新しい発想のきっかけをくれるかもしれません。
ヒント②:「資料作成」を、ゼロから始めない
「作る」作業はAIに手伝ってもらい、人間は「考える・伝える」ことにもっと時間を使う。これは、報告書やマニュアル作成が多い管理職にとって、すぐにでも取り入れられる考え方です。
- 例えば… カイゼン報告書の骨子作成 現場での改善活動を報告書にまとめる際、まずAIに「〇〇の工程の段取り時間を5分短縮した改善活動について、報告書を作成したい。どんな構成がいいかな?」と相談します。AIが提案してくれた骨子に沿って考えを整理すれば、より質の高い報告書を短時間で作成できます。

- 例えば… 新人向け作業標準書のたたき台作成 ベテランの頭の中にしかない作業のコツを、AIが「見える化」するお手伝いをします。作業手順を箇条書きでAIに渡し、「この内容で、未経験の新人さん向けに、安全面の注意点を強調した作業標準書のたたき台を作ってもらえますか?」と指示すれば、技術伝承の第一歩となる文書が手軽に準備できます。
ヒント③:「会議」の準備と後処理を、効率化する
LINEヤフーでは、議題整理や議事録作成にAIを活用し、会議の質を高めようとしています。これは、日々の会議に追われる私たちにとっても、大きなヒントになります。
- 例えば… 朝礼や定例会議の準備 「今日の生産目標と各ラインからの注意事項を元に、朝礼で話すべき内容を3分で簡潔にまとめて」とAIに頼めば、要点が整理され、伝え漏れを防ぐのに役立ちます。
- 例えば… 議事録作成からの解放 品質会議や生産会議の内容をスマートフォンで録音し、文字起こしアプリでテキスト化。その全文をAIに貼り付け、「この会議の決定事項、懸案事項、および担当者(ToDoリスト)をリスト形式でまとめてほしい」と指示するだけ。これで、議事録作成の負担が大幅に軽減されます。

おわりに
LINEヤフーの取り組みから見えてくるのは、AIは『仕事を奪うもの』ではなく、むしろ私たちが本当にやるべき『考える仕事』や『創造的な仕事』のための時間を生み出してくれる、心強い味方だということです。

もしよろしければ、明日、何か一つ調べ物をする際に、検索エンジンの隣で、AIにもそっと話しかけてみてはいかがでしょうか。
その小さな対話が、ご自身の、そして会社の未来の働き方を考える、面白いきっかけになるかもしれません。
いつも記事を読んでいただき本当にありがとうございます。
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